【ご報告】特定社労士試験(紛争解決手続代理業務試験)に合格しました
先日、特定社労士試験(紛争解決手続代理業務試験)に合格しました。
「特定」とつくと「特定のことしかできないの?」と思われがちですが、実は逆で、通常の社労士ができる業務に加え、ADR(裁判外紛争解決手続)を活用した業務を行うことができる資格です。
裁判は時間や費用の負担が大きく、関係者に大きな負担が生じますが、ADRを活用することで、当事者の代理人として、裁判をせず「話し合い」によって、トラブルを簡易・迅速・低廉・円満に解決することを目指します。
ADR自体の業務をする機会は中々ありませんが、顧問先を中心としたお客様からの労務相談を受けるうえで、私自身、この資格・経験は必須だと考えています。
なぜなら、働き方の選択肢が増え、働く人の意識が変化したことで、近年、企業や組織における「人」に関する課題はますます多様化しています。
働き方の変化、副業・リモートワークの普及、ハラスメント問題の認識の高まりなど、雇用環境は大きく変わっています。
その結果、労使間の価値観や考え方の違いが顕在化し、紛争の内容も複雑化しています。
これまでのような一律のルールでは対応しきれず、個別の事情を踏まえた柔軟な解決が求められる場面が増えているため、労使紛争の解決も一筋縄ではいかなくなっています。
こうした背景から、専門的な知識と実務経験をもつ特定社労士の役割がより重要になってきています。
特定社労士資格取得には、「特別研修」と呼ばれる膨大な研修を修了したうえで試験に臨む必要があります。
労使トラブルが発展すると、最終的には司法判断となりますが、特別研修の内容は、未払い賃金、就業規則の不利益変更、ハラスメントを理由とする懲戒処分、意に反した配転命令や雇止め、病気休職・復職などの有効性について、判例研究や弁護士による講義、グループ討論、課題提出などにより、議論・検討するものとなっており、オンライン研修約30時間・実地研修約30時間(石川県所属社労士は名古屋に4往復・のべ6日間) の計60時間以上にわたります。
また、例題から紛争解決案や法的判断などを考察する記述式の試験は、研修を修了した社労士のみが受験することが可能ですが、合格率は約50%程となっています。
現在、特定社労士は社労士全体の約30%(2024年度登録者数より推計)とされています。
企業と従業員の間でトラブルを防ぐためには、法的根拠や司法判断に基づいたサポートを行うことで、労使双方にとって納得のいく労働環境の整備が重要です。
これからも、企業の皆さまが安心して働ける環境づくりをサポートし、トラブルを未然に防ぐサポートや、万が一の際のスムーズな解決に尽力してまいります。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします!