超基本!新社会人に知ってほしい!給与明細から学ぶ「社会保険・税金の基礎知識」

社会保険・源泉徴収・住民税 etc…正しく説明できますか?

新年度も1ヶ月が過ぎ、就職や人事異動があった方は、新しい環境に少しづつ慣れてきた頃でしょうか?
新社会人になって初めての給料を最近、受け取ったという方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、その給与明細に記載されている内容、正しく理解されていますか?

新社会人の方も、「これまで給与明細をよく見ていなかった」という従業員の方も、この記事を読んだ後に、ご自身の給与明細に目を通してみてください!

会社は給与から何を天引きしているの?

企業によって様式や項目が異なりますが、給与明細は大きく分けて「支給」・「控除」・「勤怠」の項目に分かれて記載されていることが多いです。

「支給」は文字通り給与として計算された金額、「控除」は給与として振込む前に会社が必要に応じて天引きする金額、「勤怠」は「支給」金額を計算するための基礎となる労働日数や時間です。

全ての項目を説明したいところですが、膨大な量となりますので、今回は、「控除」の項目を中心にざっくり説明します!

⑩総支給額が給与として計算された総額(よく総支給や額面給与といわれます)なのですが、実際に従業員に支払われる額は㉘差引支給額(一般に手取りといわれます)です。

⑩総支給額ー⑳控除合計㉘差引支給額となるのは、従業員が納めないといけない「社会保険料」「税金」を会社が先にお給料から天引きして代わりに処理してくれているからです!

では、「社会保険料」と「税金」とは具体的になんでしょう。まずは、「社会保険料」から説明します!

従業員が納める社会保険料は4つ

従業員は⑪健康保険、⑫介護保険、⑬厚生年金、⑭雇用保険の4つの保険料を納める必要がありますが、前述したとおり会社が代わりに納付処理をしています。

健康保険

病気やケガによって生じる病院や薬局に支払う経済的な負担を、お互いで支え合うことを目的にしている社会保障制度の1つです。加入者全員で、お互いの医療費を支え合っています。よく3割負担という言葉を聞きますが、本来なら10,000円の医療費が掛かるところを本人の負担は3,000円で済み、残りの7,000円を皆が出し合っている健康保険料で負担しているというイメージです。

介護保険

高齢社会を迎えたいま、介護は誰もが直面する問題になりつつあり、介護が必要になっても安心して暮らすことができるよう、「介護保険制度」が導入されました。介護が必要な方を、様々な介護サービスによって、社会全体で支える仕組みであり、健康保険料とは別に40歳から介護保険料の負担が発生します。40歳になるまでは介護保険料の負担はありません。

厚生年金

厚生年金保険料として、働いている間に納めた金額を、将来、自分が高齢になった際に、年金として受け取ることができる制度です。年金制度によって、将来の一定の生活保障が担保されることになります。ただし、制度の実態としては、「今の高齢者に支払われる年金は、今働いている方が納めている厚生年金保険料から支払われており」、「今働いている方が将来受け取る年金は、将来働いている方が納める厚生年金保険料から支払われる」ことになります。そのため、少子高齢化が著しい日本においては、高齢者数>労働者数となるため、年金制度の運営そのものが難しいものになっています。

雇用保険

失業した方や就職、雇用の継続を維持することが難しい方に給付金などを支給する制度です。イメージしやすいのは失業手当(よく失業保険と言われます)ではないでしょうか。様々な理由により、今の職場を退職した場合でも、次の就職先を探している間の生活保障として、失業手当を受け取ることができます。このように、給付が必要な方に対しての原資を、加入者全員で雇用保険料として負担して支え合っています。

詳細は割愛しますが、この4つの保険料は、給与の金額が大きくなればなるほど、納める金額も大きくなる仕組みとなっています。4つそれぞれの保険料率がありますが、4つ合わせた金額は、ざっくりですが、⑩総支給額の約15%です。

所得税と住民税

4つの社会保険料とは別に、⑰源泉所得税、⑱住民税の2つの税金を納める必要がありますが、社会保険料と同様に、会社が代わりに納付処理をしています。

源泉所得税

初めて聞くと難しそうな名前ですよね。会社が給与から天引きして納付する制度を「源泉徴収」と言いますが、所得税を天引きしているため、「源泉所得税」という言葉が使われます。

そして、源泉所得税の金額は、何人家族を養っているかという扶養人数等⑧課税計ー⑮社会保険計=⑯課税対象額を基に、国が定める「源泉徴収税額表」によって決まります。

今回の例では、扶養親族がいない設定とすると、⑯課税対象額=188,255円ですので、⑰源泉所得税=4,340円となります。

残業の増減などにより、⑯課税対象額も変更になりますので、源泉所得税は毎月、変更になる可能性があります。

源泉所得税は、国が各種事業を行うための財源を確保するために、概算で所得税を毎月納付する制度です。今回は説明を割愛しますが、「年末調整」によって、「その年の1月〜12月末までに納付した源泉所得税の総額」と「確定した所得税額」の過不足を清算して、払い過ぎた所得税額の還付または足りない分の追加納付を行います。

住民税

従業員は住民税の納付も必要です。住民税とは、市町村民税と県民税を合わせた金額のことで、市民税・県民税や市県民税ともいわれます。

所得税との違いがややこしいのですが、住民税は、前年1月〜12月末までの収入等の情報を基に、お住まいの市町村の役所が税額を計算して、その年の5月頃に納付が必要な税額が記載された通知書が役所から会社あてに届くという仕組みになっています。ですので、会社は通知書に記載された金額のとおりに給与から天引きして本人の代わりに納付処理をしています(住民税の特別徴収といいます)。

さらにややこしいのですが、住民税の特別徴収の始まりは、制度の仕組み上、6月分からスタートし、翌年5月分まで毎月納めます。

所得税との住民税との違いを示した図が以下になります。細かくてスミマセン…


所得税は入社後すぐに発生するのに対し、住民税は、前年1月〜12月末までの収入等が一定額以下の場合は課税されないため、新卒で4月に入社した場合、最初の年は住民税が発生しないことが多いです。入社1年目の給与を基に2年目の6月分から発生することが通常です。

いかがでしたでしょうか。今回は、給与明細を基に「社会保険・税金の基礎知識」を説明しました。基本知識ではありますが、自身の生活に直結する内容だったかと思います。特に新社会人の方は、学生気分だった心構えを徐々に切り替えていかなくてはなりません。新しい仕事を覚えるのも本当に大変だと思いますが、社会に関わる知見も少しづつ蓄えて、素敵な社会人に成長していくことを願います。

当事務所では社会保険・税金に関わるセミナー・研修も行っております。
お問い合わせ・初回ご相談無料ですので、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

公式LINE を友だち追加すると、新着記事をすぐに受け取れます!
こちらからどうぞ

友だち追加
お役に立てば、ぜひシェアをお願いします。
  • URLをコピーしました!
目次