知っておくべき!副業・兼業社員の労務管理の注意点について

働き方改革や多様な働き方の広がりを受けて、副業・兼業を認める企業が増えています。

裁判例では、「労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由である」とされており、企業が副業・兼業を一律に禁止することには慎重な対応が求められます。

一方で、企業が副業・兼業を認める場合には、労務管理上の重要なポイントを押さえておく必要があります。以下に、社労士の視点から5つの注意点をまとめます。

目次

1. 労働時間の通算が必要

副業・兼業先と本業の労働時間は、原則として通算されます。1日8時間・週40時間を超える部分には、割増賃金の支払いが必要となるケースがあります。

この際の割増賃金の計算は、詳細は割愛しますが、所定労働時間所定外労働時間に区分したうえで、通算ルールに基づいて行う必要があります。

企業がすべての労働時間を把握することは現実的に難しい面もありますが、労働者からの自己申告や事前届出により、働き方の状況を把握しておくことが重要です。

2. 過重労働・健康管理への配慮

副業・兼業によって長時間労働が常態化してしまうと、健康リスク生産性の低下にもつながります。健康診断や面談などで副業の実態を把握し、必要に応じて就業時間の調整などの措置を講じることが望まれます。

3. 就業規則への明記と事前届出

副業を許可制とする場合は、就業規則にその旨を明記し、届出や承認のルールを定める必要があります。特に以下のような点を整理しておくとトラブル防止につながります。

  • 競業にあたる副業は禁止
  • 本業に支障を及ぼす副業は禁止
  • 事前に会社へ届出が必要

4. 情報漏洩・競業避止義務

副業先での業務内容が本業と重複する場合、企業秘密の漏洩競業行為につながるおそれがあります。秘密保持契約誓約書の活用就業規則での禁止事項の明確化などが有効です。

5. 休業補償(賃金基礎)に影響

副業・兼業を行っている労働者が傷病手当金労災の休業補償を受ける場合、複数の勤務先の賃金が合算されるケースがあります(例:労災保険法の平均賃金計算など)。

そのため、企業としては副業収入の有無や金額を事前に把握しておくことが、対応の精度を高めるうえで重要です。


まとめ

副業・兼業は、労働者の自由や成長機会につながる一方で、企業には労務管理上のリスクが伴います。

制度を整備することで、働く人の意欲を引き出しながら、企業としての秩序や安全も守ることが可能です。就業規則の見直し副業に関するルール設計など、お気軽に社労士へご相談ください。

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