【パワハラと指導の境界線】3要素+6類型+裁判例でわかる!その境界線を正しく理解しましょう!
\この記事の目次/
パワハラと指導の境界線とは?
「叱っただけのつもりがパワハラと言われた」 という相談は非常に多くあります。 判断のポイントは、上司の主観ではなく、客観的に業務上必要で相当な指導だったかどうかです。
厚労省は、パワハラを「業務上必要な範囲を超えた、職場の優越的関係に基づく問題行為」としています。 つまり、厳しい指導でも、業務上必要で、目的が明確で、言い方が適切ならパワハラではありません。
厚労省のパワハラ判断基準(3要素+6類型)
厚生労働省の資料(令和4年版)では、パワハラは次の3要素が揃うと成立するとされています。
- ① 優越的な関係に基づく言動
役職・経験年数・人間関係などで断れない状況。 - ② 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動
人格否定・長時間の叱責・大声・威圧・業務に関係ない指導など。 - ③ 労働者の就業環境を害する行為
出勤困難、精神的苦痛など、働く上での支障が生じた場合。
さらに厚労省は、パワハラの典型例として次の6類型を示しています。
- ① 身体的攻撃(殴る・物を投げる・机を叩く など)
- ② 精神的攻撃(長時間の叱責・人格否定・大声威圧)
- ③ 人間関係からの切り離し(隔離、無視、別室隔離)
- ④ 過大な要求(達成不可能なノルマ、不要な長時間作業)
- ⑤ 過小な要求(明らかに能力とかけ離れた単純作業のみを与える)
- ⑥ 個の侵害(私生活への過干渉、家族のことを過度に詮索)
6類型のいずれにも該当しない行為でも、3要素を満たせばパワハラとなる点は重要です。
裁判例から見る「NG行為」
実際の裁判例では、次のような行為がパワハラと認定されています。
- 長時間にわたり叱責を続けたケース
⇒40分以上の立たせた叱責を繰り返し精神疾患を発症(福岡高判 平成26年3月)。 - 人格否定を繰り返したケース
⇒「おまえは使えない」「辞めてしまえ」などの発言(名古屋地裁 平成23年)。 - 過大な業務を一人に集中させたケース
⇒通常3人で行う作業を1人に命じ、ミスを厳しく叱責(東京地裁 平成29年)。 - 私生活への過度の干渉
⇒休日の行動や交友関係に口出しし続け精神的苦痛を与えた(大阪地裁 令和元年)。
一方で、次のように業務目的が明確で記録に基づいた指導はパワハラとされなかった例もあります。
- 事実に基づき、声を荒げずにミスの原因を確認した指導
- 勤務態度の改善に向けた具体的指示を行ったケース
「厳しい=パワハラ」ではなく、「不必要」「行き過ぎ」「人格否定」がポイントと言えます。
企業が取るべき防止策
- 指導のルール化(言葉遣い・時間・場所の基準)
- 相談窓口を複数設置(直属以外の窓口が必須)
- 指導内容の記録化(メモ・メール・日報)
- 管理職研修(ハラスメント・評価制度・部下育成)
- 就業規則・ハラスメント規程の整備と定期周知
社労士からのアドバイス
パワハラは感情ではなく行為の客観性で判断されます。 管理職がよく抱える誤解に、「熱意があれば多少厳しくても良い」というものがありますが、これは裁判例で否定されています。
企業としては、①事実(記録)、②目的(業務必要性)、③伝え方(適切さ)の3点管理が最重要です。 もし判断に迷う場合は、就業規則・マニュアル・指導記録の整備まで含め、社労士としてサポートいたします。
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